住人が示す空き家問題解決の指針『空き家の手帖』学芸出版社

今日紹介したいのは、『空き家の手帖 -放おっておかないための考え方・使い方-』(学芸出版社)という本です。

京都府東区六原という空き家問題に悩む地区が、自ら問題解決に取り組み、まとめ上げた空き家対策のガイドブック。空き家問題に悩む近隣住民の声が専門的解説と合わせて、分かりやすくまとまっています。解決策も活用事例付きで具体的にイメージしやすいです。

六原自治連合会の取り組み

「空き家問題」と一括りに言っても、以下の様な課題があると知りました。

・オーナーが空き家の定義を正しく理解していない
・空き家の危険性・リスクが正しく理解されていない
・人が住む方が家が傷むと思われている
・空き家は利用価値が無いとオーナーが思い込んでいる
・賃貸契約に関するオーナーの知識不足
・税金(固定資産税)に関する認識不足
・空き家活用のアイデア不足
・相続に関する権利関係の複雑化
・家財の片付け

認識不足、知識不足、思い込み。空き家=お荷物と考えるのではなく、知識とアイデア次第でいくらでも使いみちがあると知ること。それが重要な第一歩だと感じました。

「特定空き家」自体の認知拡大が必要

この本を読んで、「特定空き家」という言葉を初めて知りました。
言葉だけ見ると、なんか良さそうなイメージですが真逆です。

特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の優遇措置を受けられなくなったり(6倍…)、自治体から状況改善の勧告対象(命令違反は最大50万円の罰金…)になってしまったりと、このような状況になるとまさに「お荷物」状態です。

Q:特定空き家とは?
A:一言で言うとやばい空き家です

平成26年11月に公布された「空き家対策の推進に関する特別措置法」によって以下の様に定義されています。
① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
※国土交通省より:http://www.mlit.go.jp/common/001080534.pdf

空き家は放おっておくと、自分だけではなく他人も地域も巻き込むお荷物になってしまうということ。そして、自分が思っている以上に空き家に価値を認める人が沢山いるということ。

この2つの事をいかに、行動と発信を持って広めていけるか?ここに私を含めた個人が貢献できる余地があると感じました。

「特定空き家にしちゃダメ、ゼッタイ」