【独学】宅地建物取引士の試験に一発合格しました|業界未経験、一般会社員、合格までの道のり

改めまして、CREATIVE HIKINGを運営している安松と申します。この度、かねてより取得を考えていた宅地建物取引士試験に無事一発合格する事ができました!不動産業界未経験でなおかつ、決して勉強が得意ではない(受験勉強コンプレックス)私が実践した方法が、少しでも誰かに役に立てばという想いで筆を走らせています。
※私が合格したのは2019年度です、重い腰を上げやっと書き始めました。

1,宅地建物取引士を取得しようと思った背景

初めての物件選びでの失敗が全ての始まり
そもそも、このサイトを始めたきっかけにもつながるのですが「知る事で選択の幅が広がる」と考えたからです。あまりの無知から初めての物件選びを盛大に失敗。帰って寝るだけの箱に高い家賃を払い続けた社会人駆け出しの2年間。その後、改装可能賃貸に出会い「こんな最高の選択肢があったのか!!」という衝撃と同時に「あと2年早くこの選択肢を知っていれば」と今思い返しても悔しい思いです。
※この時代のことは、以前YADOKARIに寄稿した記事に詳細を記載していますので興味がある方はぜひご覧ください。

情報格差を埋める手段としての宅建資格
私に足りていなかったのは情報とそれを扱う知識でした。後から気付いたのですが、不動産業界は賃貸契約書に代表されるように、普段契約書に触れないような素人が専門用語で説明を受けたり、業界人だけが知り得る古い慣習があったりと、サービスの提供側と受け手の情報量に圧倒的な格差があります。今後も一生「住」と関わることは確定なので、この溝を自分の手で埋める必要があると感じました。

改装可能賃貸が気づかせてくれた不動産業の魅力
その他の動機としては、シンプルに不動産業界が魅力的だという点です。最初に話したことと矛盾していますが「改装可能賃貸」との出会いがそう思わせてくれました。調べるほどに沢山のユニークな不動産サービスを知り、現在社会問題となりつつある「空き家」の問題も知りました。将来不動産業に何らかの形で関わりたいという想いも、資格取得を後押ししました。

2,そもそも宅地建物取引士とは?

宅地建物取引士資格試験の概要は?

・開催月:毎年10月 ※令和3年度は10月17(日)開催
・申込締切:令和3年度は7月30日(金) ※郵送の場合
・受験手数料:7,000円
・受験人数:約20万人
・合格率:15%前後
・設問数:50問(条件を満たす実務経験者は5問免除で45問)
 ┗ 権利関係 14問
 ┗ 宅建業法 20問
 ┗ 法令上の制限 8問
 ┗ その他(税法、その他) 8問
・合格ライン:年によるが35点〜38点

宅地建物取引士とは?
一般財団法人不動産適正取引推進機構が国土交通省から委託を受け開催する国家資格試験です。この試験に合格し、都道府県知事より資格登録を受け免許を発行された者を、宅地建物取引士と言います。試験に合格するだけでなく、資格登録と免許証の発行が必須となります。不動産仲介業を営む事業者は、各拠点毎に5名につき1人の資格者を配置する義務があり、事業を推進する上で、必要不可欠な資格です。

宅地建物取引士しかできない業務は?
不動産契約の際に必ず出てくる「重要事項説明書」の説明と記名押印は宅地建物取引士でなくてはできません。また契約締結後に両当事者に交付する契約内容を明記した「37条書面」への記名押印も同様です。その他の業務である、募集や物件内覧の案内等は宅地建物取引士でなくても行う事ができます。

宅地建物取引士のメリット
不動産仲介に関する全ての業務を遂行する事ができるため、不動産業者の登録と免許を受ければ不動産業を開業する事ができます。また、企業に所属する場合は資格手当が出る事が多く、給与面で優遇されています。

3,宅地建物取引士資格の取得難易度は?

法律の知識と理解が必要になるため、それなりの学習期間が必要です。取り扱う範囲は広いですが、毎年出題される分野はある程度絞られているので、基礎を身につけた上で「過去問」をこなしていけば決して合格は難しくないと感じました。

出題範囲について

権利関係から14問
契約とは?から、代理、時効、相続、債権譲渡、不動産登記法、区分所有法、抵当権、損害賠償、担保責任、連帯債務、借地借家法など、幅広い知識が求められます。普段聞き慣れない言葉が多く最も理解に時間を要する分野だと感じました。

宅建業法から20問
出題量が多く、実務に直結する分野なので非常に重要です。範囲が権利関係に比べて狭いのと、出題されるポイントが絞られているため、なるべく点数を稼ぎたい分野です。

法令上の制限から8問
都市計画法など、街の仕組みを知る事ができ個人的には学んでいて楽しい分野でした。一方で出題となると、暗記的な要素を求められるため試験勉強っぽくもあります。暗記分野だと思うとただただ辛いので、自分の街の都市計画を調べたり、住んでいる建物は建築基準法的にどうなんだ?みたいなことを考えながら取り組む事をお勧めします。

その他(税法、その他)から8問
税法もまあまあ辛かったです。不動産取得税、固定資産税、所得税、登録免許税、印紙税など、どれがどれだか分からなくなり混乱しやすいです。分野としては狭いので暗記科目と割り切って直前にまとめて覚えてしまうのが良いかもしれません。その他、不動産市場の直近のデータも出題されますがこちらは後述のYoutubeチャネル等で情報収集すれば高い確率で得点に結びつくので、そちらの利用が効率的です。

試験勉強に取り掛かる前のポイント
全ての分野を満遍なく全力でやろうとすると、とても期間内に理解しきれる分量ではないので、予め配点と重要な分野を把握する事をお勧めします。中でも配点の多い「宅建業法」は手を抜かず注力すべき分野です。

少し矛盾してしまいますが、個人的に良かったと思うのは、重要なポイントを抑えた後は、自分が興味の持てる分野を掘り下げてみる事。興味があるからこそ勉強という感覚を忘れさせてくれる効果があるのと、知識の定着が少し早い気がします。実際私の本番は「宅建業法」で予定よりも多く失点してしまい、その代わり「権利関係」と「法令の制限」で想定以上に得点でき合格ラインを数点上回る事ができました。時間に余裕がある方はぜひ自分の興味と結びつけて取り組むことをお勧めします。

4,独学合格のための教材と費用について

学習段階に合わせた教材チョイスが重要
業界未経験だったので、そもそも何もわからないところからスタートしました。ゼロの状態でいきなり教科書を読んだり過去問を解くと心が折れる可能性が高かったので、以下のような段階を踏んで行きました。私が選んだ教材が推奨しているやり方でもあるので、有効だと思います。

LEVEL1〜 何もわからない期
マンガ教材で全体感と用語に慣れる。

LEVEL2〜 マンガ知識を武器にお勉強期
1種類教材シリーズを選んで読み込み、知識をインプットする。

LEVEL3〜 「わかる」から「できる」期

上記シリーズの問題集に取り組み、得た知識を使う。

LEVEL4〜 知識の再現性を高める期
上記シリーズが解説する過去問集に取り組み、得た知識を様々な形で反復的に使う。

LEVEL5〜「できる」から「教えられる」期
人に解説するつもりで基礎教材を復習し、理解度を深める。

LEVEL6〜 実践期
模試等で初見の問題に触れ、本番に慣れる。模試の解説書も復習し更なる知識の定着を図る。

主軸となる教材シリーズを決めるのがお勧め
個人的には、基本の教科書と問題集は1つの教材シリーズに統一することをお勧めします。「この問題集の詳細は教科書の○ページを参照」といった具合に教科書間で情報が連動しており、復習が非常にしやすいためです。解説の仕方や表記にも統一性があり知識の定着につながります。過去問をがしがし解いていく段階では逆に複数の教材シリーズを試してみるべきだと思います。少し違う書かれ方をした場合に慣れる事で、本番で重要な知識の再現性を高める事ができます。

私は、基本テキストを宅建学院が出版している「らくらく宅鍵シリーズ」に統一しました。アマゾンでレビューがそれなりに良かったのと、上記で記載した通りテキスト間の情報連携がわかりやすく、何度も読み込み知識を定着させるのに向いていると判断しました。

利用教材ラインナップ
以下に、私が利用した教材一覧を紹介します。基本的に以下の反復学習とYoutube視聴で合格まで到達できました。

らくらく宅建塾シリーズ/宅建学院
マンガ宅建塾 2,640円
らくらく宅建塾 3,300円
ズバ予想宅建塾 分野別編必修問題集 2640円
宅建士問題集 過去問宅建塾〔1〕 権利関係 1,980円
宅建士問題集 過去問宅建塾〔2〕 宅建業法 1,980円
宅建士問題集 過去問宅建塾〔3〕 法令上の制限その他の分野 1,980円
〇×マンガ宅建塾 100%マンガ問題集![一問一答] 1,870円
まる覚え宅建塾 1,870円
ズバ予想宅建塾 直前模試編 1,650円
※リンク先はAmazonのページに遷移しています

みんなが欲しかった!シリーズ/TAC出版
みんなが欲しかった! 宅建士の12年過去問題集 2,860円

合計 22,770 円
※某通信教育だと約6万円はかかるのでコストも安価に抑えられました

5,独学合格のためのスケジュール(年間)

私は知識ゼロからのスタートだったのと、仕事と子育ての合間の時間で勉強する必要があったので、4月の早い段階から学習をスタートさせました。試験のある10月までどのようなステップで勉強を進めていったのか紹介します。

4月 LEVEL1〜 何もわからない期

何もわからない知識ゼロの状態。マンガ教材でゆるーく知識をインプットする。毎日少しづつ読み進め大体5〜6周くらいは読み込んだと思います。初見の時はマンガでも用語でつまづきました。5〜6周した段階では用語に見慣れはしましたが、内容を完全に理解するところまでは到底行きませんでした。慣れるがゴールで良い時期だと思います。

教材

マンガ宅建塾

5月 LEVEL2〜 マンガ知識を武器にお勉強期

マンガで身につけたにわか知識を武器に、基礎テキストに挑んで行きます。1周テキストが終わったら、必修問題集に取り組みます。今思うと1周目が一番キツかったです。正解しても3割くらいなので心が折れそうになるのですが、堪え時です。ここで大事なのが「間違った問題に必ず印をつける」事です。らくらくシリーズで推奨されているやり方なのですが、これが効きました。問題集2周目以降も間違った問題に印をつけ、4周目以降からは3回正解している問題については知識が定着しているとみなし、飛ばして解き進めます。苦手分野が明確になるのと、必然的に苦手な問題から逃れられないので全体の正答率が上がっていきます。学習のスピードアップにもつながるので非常に効率的な学習方法だと感じました。繰り返しになりますが、1周目さえ乗り切れば、上記勉強法を続ける事で成長実感が得られるので勉強が軌道に乗ると思います。

教材

らくらく宅建塾
ズバ予想宅建塾 分野別編必修問題集

6月 LEVEL3〜「わかる」から「できる」

5月と同様の進め方で、分野別の過去問題集を解き進めます。1冊解き終わったら苦手分野ごとに基礎テキストに戻り復習を行いました。後はその繰り返しです。問題を解く、3回連続正答した問題は飛ばす、間違えた問題を連続正答するまで何回でも解く、苦手分野は基礎テキストで復習。それをひたすら繰り返しました。

教材

らくらく宅建塾
ズバ予想宅建塾 分野別編必修問題集
宅建士問題集 過去問宅建塾〔1〕 権利関係
宅建士問題集 過去問宅建塾〔2〕 宅建業法
宅建士問題集 過去問宅建塾〔3〕 法令上の制限その他の分野

7月 LEVEL4〜 知識の再現性を高める期

基本的には6月と同じです。この頃になると問題を解くスピードがアップし、飛ばして良い問題も増え、1冊を素早く完了できるようになります。それでも間違う問題はあるので、重要かつ苦手分野の問題を徹底的に繰り返し解き、基礎テキストで復習します。間違う問題がなくなるまで繰り返す事が重要です。

教材

らくらく宅建塾
ズバ予想宅建塾 分野別編必修問題集
宅建士問題集 過去問宅建塾〔1〕 権利関係
宅建士問題集 過去問宅建塾〔2〕 宅建業法
宅建士問題集 過去問宅建塾〔3〕 法令上の制限その他の分野

8月 LEVEL5〜「できる」から「教えられる」期

6月7月と同じく、ひたすら苦手な問題を中心に解き続け正答率を上げていきます。この頃になると苦手分野もかなり絞り込まれてくるため、改めて、基礎テキストを理解度を確認しながら読み込みました。人に教えるつもりで頭の中で解説できるようになる事を意識しました。また、この頃から過去問集に着手しています。時間を測りながら1年分づつ取り組み、これまでと同じように間違った問題に印をつけ繰り返し正答率が上がるまで解き続けました。

教材

らくらく宅建塾
宅建士問題集 過去問宅建塾〔1〕 権利関係
宅建士問題集 過去問宅建塾〔2〕 宅建業法
宅建士問題集 過去問宅建塾〔3〕 法令上の制限その他の分野
みんなが欲しかった! 宅建士の12年過去問題集

9月 LEVEL6〜 実践期

以下掲載している教材が山盛りで、こんなの不可能・・・!と思うかもしれませんが、実態は正答率の低い問題だけに絞っているので1冊を2日くらいでこなせるまでスピードアップしています。12年分の過去問に取り組む比重を上げ、徐々に本番の感覚に慣らす事を意識しました。また知識を瞬発的に引き出せるようにするために、一問一答形式の問題集や、超重点分野だけがまとまったコンパクトなテキストを利用し、移動時間等に繰り返し取り組みました。加えてこの時期になると、大手資格学校が模試を開催しているので、実力試しのために2回ほど受験しました。本番さながらの緊張感が味わえるので、オススメです。

教材

らくらく宅建塾
ズバ予想宅建塾 分野別編必修問題集
宅建士問題集 過去問宅建塾〔1〕 権利関係
宅建士問題集 過去問宅建塾〔2〕 宅建業法
宅建士問題集 過去問宅建塾〔3〕 法令上の制限その他の分野
みんなが欲しかった! 宅建士の12年過去問題集
〇×マンガ宅建塾 100%マンガ問題集![一問一答]
まる覚え宅建塾

10月 直前期

直前期はあえて基礎テキストに立ち返り、基本的な知識の取りこぼしが無いか総点検を行いました。これまで正答率の高かった得意分野含め復習する事で知識の定着に役立ちました。加えてYoutube等で「5問免除」の問題で出題される時事問題の出題予測情報を仕入れ暗記しました。ある種サービス問題みたいな要素もあるので、情報源を絞って暗記する事をお勧めします。
※5問免除は一定の条件を満たす実務経験者が免除される問題のことです。業界未経験者は必ず回答する必要があります。

教材

らくらく宅建塾
みんなが欲しかった! 宅建士の12年過去問題集
〇×マンガ宅建塾 100%マンガ問題集![一問一答]

6,独学合格のためのスケジュール(1日の過ごし方)

年間のスケジュールを紹介しましたが、ここでは平日と休日の勉強時間をいかに捻出したか?について紹介します。仕事も子育てもハードでしたが、ちょうど私が受けた年が、民法に大きな改正が入る前の年で、落ちたら翌年以降の出題内容がガラッと変わる可能性があったので、絶対1年で終わらせる意気込みで時間を作りました。

平日の勉強時間

平均約2時間〜2時間半
【30分】6:30〜7:00 出勤中の電車にて勉強
【90分】7:00〜9:30 会社近くのカフェにて勉強
【00分】9:30〜20:00 勤務
【30分】20:00〜20:30 帰宅中の電車にて勉強
【00分】20:30〜家事育児〜就寝

休日の勉強時間

平均約2時間〜3時間
【180分】子供が昼寝等の時間を見計らって勉強(不定期)

妻にも多大なる協力をもらい、毎日平均2〜3時間勉強時間を捻出しました。勉強開始から受験までのトータルの勉強時間はざっと400〜500時間前後になりました。

7,模試の受験は必要か?

年間スケジュールの項目でも触れましたが、模試の受験はオススメです。私のように本番に弱い自覚がある方は特に効果的だと思います。数千円の費用はかかってしまいますが、合格率を少しでもあげることにつなががるので、コスパは良いと言えるのではないでしょうか?以下ポイントをまとめます。

宅建の模試受験をお勧めする理由
①本番と限りなく近い環境が用意されている(時間、形式、場の雰囲気など)
②初見の問題に上記環境で触れる事ができる
③上記の結果を通して改めて得意分野と苦手分野が分かる

特に③のメリットが大きいと思います。今まで慣れ親しんだテキストだから解けていた可能性のある分野が炙り出されます。実は理解できていなかった項目は自分では気づきにくいので、より効果的な復習をするきっかけになります。

8,その他、独学合格に役立った情報源について

Youtubeの視聴は効果的でした。市販教材での学習は一人で取り組むため、内容を誤って理解している危険性もあります。Youtubeにて講師が説明するのを聞くと、理解の定着が促進されますし、ニュアンスを間違って覚えてしまった項目にも気づかされます。以下に私がお世話になった、3つのチャネルを紹介します。いずれも無料で視聴する事ができ、試験直前まで重宝しました。
※宅建受験の講師はなんでこんなにクセの強い人が多いんでしょうw


中村喜久夫チャンネル


宅建みやざき塾


宅建吉野塾

9,宅地建物取引士の受験を通して得たもの

これは、完全に個人的な感想なので読み飛ばしていただいて大丈夫です!

今回受験して良かったと思うのは、資格を取得できた事もそうなのですが、限られた時間でも有効な勉強法を習得できた点です。実は「勉強コンプレックスを克服する」のも今回の大きなテーマでした。これまで勉強において「効率」を意識した事が一切なく、基本的にパワープレー。丸暗記でとにかく時間を費やせば点につながると思い込み無駄に苦労してきた人生でした。結果、大学受験に失敗。浪人時代も吐くほど勉強したにも関わらず第一志望の大学に行けず、それ以来心のどこかで勉強というものに対して苦手意識、負け癖がついてしまいました。

今回、1年で絶対合格すると割り切り、紹介させて頂いた勉強法の徹底で一発合格できた事は、勉強コンプレックスを克服すると共に、大きな自信につながりました。制約が多いほど工夫次第でなんとかなるという事も学べました。頑張った自分!

せっかく取得した資格ですので今後有効に活用できるよう、このサイトでの発信も含め引き続き精進していきますので、今後ともCREATIVE HIKINGを皆さまよろしくお願いします!