私には故郷と呼べる明確な場所がありません。
両親が転勤族で、小さな頃から全国各地を転々としてきました。福岡、徳島、名古屋、東京。色々な場所で沢山の人に出会って、そんな日々が今の自分を形作っています。今思えば貴重な体験でした。その反面、故郷という言葉にももの寂しさと、憧れを感じる自分がいるのも事実です。
そんな自分だからこそ「街づくり」というものに興味があり、将来の道筋として少しづつ学びはじめました。今回手に取った本は『熱海の奇跡』。バブル時代、東京近郊の観光都市として隆盛を極めた熱海ですが、バブル崩壊とともに衰退。私の世代は全盛期の頃を知らないので、熱海といったら「寂れた温泉街」の印象の方が正直強いです。その熱海が活気を取り戻したと。
自分が本書を通して最も感銘を受けたのは2つ。
① 街の人が街を知り、語れるようになること
灯台下暗しとはよく行ったもので、住んでいる人にはその街の魅力は当たり前になっていてなかなか気づくことは出来ません。
私にも近しい体験があります。小さい頃から、祖父母の家がある広島県尾道市によく行っていたのですが、その魅力を認識し始めたのは、東京に住みだして客観的に尾道を見るようになってからです。人は無いものにばかり目が行きがちですが、「あるもの」を認め、外の人の目を入れて再評価することが重要だと再認識しました。
② 街を変える「点」を打つ
何事もきっかけは重要です。兆しをつくること。それが「街を変える点を打つ」という言葉でシンプルに言語化されていて、理解が進みました。いきなり全体をガラリと変えることは不可能です。まずは1人の力でも、小さな熱狂を街に放つこと。圧倒的なコンテンツが街に小さな変化をもたらし、変化の体感がやがて周囲を変える大きなきっかけとなります。
本書を読み終わったあとに感じたのは、筆者の熱海への愛でした。
自分を突き動かす原動力はとても大事です。筆者の市来さんのように原体験と結びついている人は強いと感じました。自分にとっての原体験は何か?原動力はどこからやってくるのか。いつも散々考えてモヤモヤして終わる自分を知る程には成長したので、行動することの中から今年は見つけにいきます。目の前の「あること」に目を向け、とらわれること。改めて気が引き締まりました。
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