『思考都市』坂口恭平

坂口恭平さんの『独立国家のつくりかた』を以前読んだばかりですが、また本屋で気になるものを見つけ、手に取りました。

『思考都市』

坂口さんの原点?根源?とも言える、ドローイングの手法を中心に、路上生活者の住まいや、彼のモバイルハウス、思考空間が表現されています。走り書きのメモのようでもあり、かたやドローイングは緻密な思考の塊のようであり、ライブ感と回想シーンを織り交ぜたような不思議な空間に取り込まれたような感覚に陥りました。

大切なのはそのときの感覚を残す事

自分がこうやって何になるかも分からないサイトの更新を続けているから、刺さった言葉でもあると思います。自分が宙ぶらりんの状態だからこそ、兆しのようなものに出会ったときは形に残す。その時なんになるかは関係ない。

大切な事は、そのときの感情の動きを爪痕として残す事で、少しずつ、少しずつ自分を積み上げて行く事だと考えるようになりました。

自由ってなーに?

本書を読んで強く思ったのは、『自由』って何だ?という途方もない問い。頭おかしくなってないですよ。坂口さんのドローイングを通して、路上生活者の住空間をかいま見る事が出来るのですが、どの空間も、工夫にあふれており、生きるための機能を全て兼ね備え、おまけに遊び心もあると来てる。これが自由と言わずになんというか。

もし自由が責任の対価として得られるものであるとしたら、その思考はその「責任」に比重を置かれたものの見方なのかもしれません。人間が人間らしく生きて行くのに、責任もくそもないのだとしたら、いったい僕らが認識している『自由』って何なのだろうと?ちょっと混乱してしまったわけなのであります。

ちょっと飛躍しますが、日本の賃貸マンションがもし労働という責任を果たした対価として得られる、住空間の自由なのだとしたらそれは全く自由な空間と呼べる代物ではありません。

そもそも仕事を責任をとらえる事に、私は疑問を抱きますが、要するに、やっぱり今の賃貸住宅に納得がいかないのです!!こうやってぎゃーぎゃー吠えているだけでは何も変わらないですよねw