数字で理解する空き家の増加と改装可能賃貸の役割

よく、空き家が増える増えると言われていますが、その背景を自分でも知っておきたくて、少し調べて見ました。思考の整理のためにまとめます。


人口推移(平成22年→27年)

・人口(全国):1.28億人 → 1.27億人(100万人減

・人口(東京):0.131億人 → 0.135億人(40万人増

※出典:総務省統計局

従来言われている通り、人口は平成26年をピークとして28年から下降局面に入りました。一方東京は引き続き増加トレンドとなり、東京一極集中。地方でも都市集中が加速していることが読み取れます。

ただし、将来の人口予測データを見てみると、平成57年時点で1.06億人、平成67年では、1億人を割り込み0.97億人と予測されております。

そうなると上記のトレンドが変わらなければ、より都市集中は加速しますが、人口の総量が減っているためある時点からは都市部でも緩やかに人口現象が始まるものと予測出来ます。

予測し辛い変動要素としては、人々の働き方が代わり2拠点生活やテレワークがどれほど人口分布に影響してくるか。


総住宅数推移(平成20年→25年)

・総住宅数(全国):5,759万戸 → 6,063万戸(304万戸増/5.2%UP

・人口(東京):678万戸 → 735万戸(57万戸増/8%UP

※出典:総務省統計局

住宅総数は、全国・東京ともに増加しています。東京は日本国度の0.58%の面積にも関わらず、全国の住宅総戸数の12%が集中しています。現在は人口増加トレンドですが、減少局面に移行した時に過剰供給になる将来が予測出来ます。

全国についてはすでに人口が減少しているにもかかわらず住宅個数が増加しており、都市部以外ではすでに空き家問題が顕在化しつつあります。


空き家数推移(平成20年→25年)

・空き家数(全国):約754万戸 → 約818万戸(64万戸増

・空き家数(東京):約74万戸 → 約80万戸(6万戸増

※出典:総務省統計局

全国、東京ともに空き家は増加しています。人口が増加している東京ですら空き家が増加し始めて入ることには驚きました。東京の中でもより立地や利便性が高い地域に更に人が集中しその中でも好条件の物件から順に埋まっていると考えると、条件の悪い物件は東京においても住み手がなくなりつつ有ると推測出来ます。

今この瞬間は過渡期のため、なかなか体感し辛いですが、生きている間には間違いなく空き家は深刻な問題になると知りました。また、都市と地方では人口問題の深刻度合いが異なるため、空き家の活用方法などの課題解決アプローチは分けて考えるべきだと感じました。

解決手段の1つとしての改装可能賃貸

都市における改装可能賃貸
東京を中心とした都市おいては、人口が増えつつも住宅供給戸数も増加しているため、住まい手を獲得する競争が激化していると考えられます。特に立地や利便性に弱みがある物件や、築年数が経過している物件は不利な状況です。

上記を前提条件とすると、改装可能賃貸は、他の物件との差別化を図る上での付加価値になると考えられます。年月が経つほどメンテナンスのコストや物件の魅力が落ちるため改装を可とする事で、オーナー・住み手両者においてメリットが期待出来ます。


地方における改装可能賃貸
東京や都市部と異なり、急激に人口が減っていくため、空き家の需要と供給のバランスが崩壊していることが前提となります。住む用途だけで空き家を活用するには限界があり、住む用途だけで需要を創出するためには、人々のライフスタイル(2拠点生活等)や企業の雇用形態(遠隔勤務等)が変わる事が条件となります。

そう考えると改装可能賃貸が果たせる役割は小さく、空き家を活用する上では、住宅以外の用途開発が重要になると考えました。

人を呼び込むための観光資源とするのか、宿泊施設に改装するのか。ただ、用途転換をして成功し得る物件は限られているのではないでしょうか。歴史的な背景がある地域やストーリー性のあるものでなければ人を呼び寄せる必然性が弱いためです。

<活用し得る空き家の条件>
・建物自体に独自性、価値がある
・独自性のある歴史的背景やストーリーがある
・発掘しマーケティングできる人がいる

上記該当しない空き家はどうするか?人口の減少が止められないのであれば、活用が難しい空き家を無理に活用するのではなく、いかに法制度で持ち主の負担を少なくし整備していくか、もしくは都市計画レベルでの再編が必要なように感じました。


思考のまとめ
・都市において改装可能賃貸は物件の付加価値になり得る
・地方においては果たせる役割は少ない
・空き家の住居需要を創出するのは社会制度改革と浸透が必要
・価値ある空き家を発掘し広めるスキルが必要
・用途が見いだせない空き家整備の指針が必要

まだまだ思考は浅いですが、都市において改装可能賃貸の必要性はますます高まりそうだという個人的な確信は持てたので、引き続き追求指定きたと思います。