持続可能なまちづくり「クラウドファウンディング」活用事例

鎌倉の旧村上邸の事(※参照)を知って、クラウドファウンディングを活用した、まちづくりの仕組みに興味を持ちました。
(※)まちへの新しい関わり方「旧村上邸再生利活用ファンド」

まだ、旧村上邸プロジェクトに参加したばかりなので、メリット・デメリットはこれから学んでいきますが、今のところメリットしかないように感じます。

同様の取り組みは無いか?と調べたところ、ありました。各種クラウドファウンディングサービス上でプロジェクトが立ち上がっています。いくつかを以下で紹介します。

クラウドファウンディング×地域資産再生利活用事例

  • 神奈川県葉山町 住宅遺産保存プロジェクト「加地邸」
  • 山梨県富士吉田市 御師の家利活用プロジェクト「菊谷坊」
  • 京都府京都市 お茶屋建築再生ファンド「五條楽園エリア」
  • 和歌山県海南市 「鈴木屋敷」再生・復元プロジェクト

神奈川県葉山町 住宅遺産保存プロジェクト「加地邸」

参照:Redy for 加地邸保存プロジェクトページ

築91年の歴史を積み重ねてきた「加地邸」の再生利活用プロジェクトです。宿泊施設、撮影スタジオとしての活用が予定されています。建築史的な価値のある重要建築物のため、建築家や大学教授等の専門家もプロジェクトに参画しています。

投資のリターンは、宿泊権やオープニングパーティへの出席等、施設利用に関するものが中心で、施設運営など参加型のプランは今のところ用意されていません。資金面でサポートしたいという方向けだと感じました。

「加地邸」プロジェクト概要

・クラウドファウンディング Redy for
・プロジェクト https://readyfor.jp/projects/kachiteilink
・目標金額 ¥5,000,000
・プロジェクトオーナー 武井雅子(株)ヨネヤマ

山梨県富士吉田市 御師の家利活用プロジェクト「菊谷坊」

参照:CAMPFIRE 菊谷坊再生利活用プロジェクトページ

古くから富士登山者の宿坊としての役割を果たしてきた「御師」と呼ばれる家が存在しました。「菊谷坊」もその御師の家の1つとのこと。富士登山の文化を未来に引き継ぐため、「複合型の体験スペース」としての活用が検討されています。

こちらの募集についても、施設利用権のリターンが中心で、運営に参加できるようなプランは今のところ用意されていません。

「菊谷坊」プロジェクト概要

・クラウドファウンディング CAMPFIRE
・プロジェクト https://camp-fire.jp/projects/view/159317
・目標金額 ¥800,000
・プロジェクトオーナー 秋山真一

京都府京都市 お茶屋建築再生ファンド「五條楽園エリア」

参照:バローリノベーション 五條楽園エリア再生ファンドページ

目標金額4,000万円のビッグプロジェクトです。京都市にある通称「五條楽園」エリアにある旧茶屋建築を、ゲストハウス・コワーキングスペース・シェアオフィス・飲食店の複合施設として利活用する計画です。

想定利回り年3%(税引前)の金銭リターンに加え、施設利用権、施設運営コミュニティへの参加等、多様なプランが用意されています。

運営コミュニティへの参加を通して、人との繋がりや運営ノウハウを学べる事が最大の魅力だと思います。

「五条楽園」プロジェクト概要

・クラウドファウンディング ハローリノベーション
・プロジェクト https://hello-renovation.jp/renovations/3428
・目標金額 ¥40,000,000
・プロジェクトオーナー UNKNOWN 京都 有限責任事業組合

和歌山県海南市 「鈴木屋敷」再生・復元プロジェクト

参照:Makuake 鈴木屋敷 復元・再生プロジェクトページ

地方自治体が運営主体で、ふるさと納税の寄附金控除対象になっています。鈴木の姓を持つ人なら気になって仕方がないプロジェクトですね。

リターンは参加証明証や特産品など物品が中心で、資金提供者としての関わり方になります。

「鈴木屋敷」プロジェクト概要

・クラウドファウンディング Makuake
・プロジェクト https://www.makuake.com/project/kainan_suzukiyashiki/
・目標金額 ¥1,000,000
・プロジェクトオーナー 和歌山県海南市

全国各地で地域のシンボルになりうる建築物や場を起点とした、再生利活用の動きが始まっていました。少ない調査事例の中ですが、参加証明書や、宿泊券、施設へのクレジット等、「物」や「宿泊権」のリターンが多いように感じます。

クラウドファウンディングの利点を最大限活用するポイントは、資金提供を通していかに「当事者」を増やすか?「当事者」との関係性を継続するか?だと考えます。物や宿泊権などの一時的な繋がりよりも、コミュニティへの参加や、参加者が現状を変えていける「余白」のある仕掛けが、持続可能性を高める一つのあり方だと感じました。

成功事例も失敗事例もまだまだ少ない黎明期なので積極的に当事者と関わり、現状をより良くしていく助けになれたらと思います。