南池袋公園リボーン

僕は、大学4年間を池袋で過ごしました。おおよそ11年前の事です。

サンシャインのプリンスホテルでバイトをしていたので、付近は通り道でした。その頃の印象はズバリ「いかがわしい街」。繁華街で治安が悪く、近寄りがたいイメージでした。

そういった中にある公園なので、薄暗く、本来は憩いの場であるべき公園が、治安の悪さに拍車をかけるような存在として、悪いイメージしかありませんでした。

時は経ち、再び池袋を訪れて唖然。そこには全くの別世界が広がっていました。

平成28年に、区の区画整理事業によって、南池袋公園は見事に生まれ変わっていました。一面の芝生に、人々が思い思いに腰掛けられるスペース。子供が遊び回れる遊具に、オシャレなオープンカフェ。家族連れがこぞって集まり、平和の象徴のような風景が広がっていました。

オープンすぎるカフェスペース。晴れた日にこんな場所で読書が出来たらとても気持ちがいいですね。

 レジャーシートを広げみんな、自由に時を過ごしています。見ているだけで幸せな気分になれます。

カフェはメニューも充実しており、オシャレな屋台も出ています。定期的にイベントも開催されているとのこと。


南池袋公園(豊島区公式ホームページ)
http://www.city.toshima.lg.jp/340/shisetsu/koen/026.html


区画整理はどの自治体でもある程度は行われるもの。

普通の公園のリニューアルで、このような光景は生まれなかったと思います。自分なりに、なぜ南池袋公園がここまで生まれ変われたのかを考えて見ました。

芝生の持つエネルギー

話はだいぶぶっ飛びますが、沖縄に久高島という、「神の島」と呼ばれる場所があります。琉球王朝時代から「神の島」として信仰の対象になり、現在もマティと呼ばれる祭事が脈々と受け継がれています。


久高島
http://www.kudakajima.jp/


社会学部で沖縄の民族文化を研究対象としていた僕は、久高島でマティに参加する機会に恵まれました。マティを行う場所は、林の中に、そこだけぽっかりと丸く切り取られたような広場で、一面が芝生に覆われたシンプルな空間です。見上げると不思議なことに空をとても近くに感じられる場所です。そこをみんなで囲み、マティが行われます。最後には、沖縄らしく芝生の真ん中で軽快な三線の音で、島内・島外の人が入り乱れてカチャーシーを踊ります。

場所や状況も全く違いますが、共通する部分があると感じました。

① 芝生が敷き詰められ、ビル街のど真ん中にぽっかりあいた空間

② 芝生を保つためには手入れが不可欠であるということ

③ 裸足で寝転がり、空や自然を近くに感じられる非日常性

アスファルトで固められ、遊具があるだけの公園ではあの光景はうまれなかったはずです。芝生で寝転び、自然を身近に感じる体験が、その場所を大切に感じる想いに繋がり、大事にされる場所になっていく。

手入れをして、保つ必要がある芝生だからこそ、南池袋公園は生まれ変わる事が出来たのだと僕は考えました。今後、この都会のオアシスがどのように育って行くか、見守って行きたいと思います。