愛ある賃貸住宅を求めて【1】

リクルート住宅総研が実施した、賃貸住宅生活実態調査の記録です。

賃貸市場の成り立ちや、問題点、海外との比較、大家の視点、生活者の視点、新しい潮流等々、賃貸を取り巻く様々なトピックスについて多角的にまとまった論文です。こちらのページからダウンロードできます。

『愛ある賃貸住宅を求めて NYC, London, Paris & TOKYO 賃貸住宅生活実態調査』
http://www.jresearch.net/house/jresearch/chintai/index.html

賃貸のライフスタイルを考える上で、重要な要素が詰まった内容だと思うので、この場で、自分の心に残った言葉を少しずつ書き留めて行きたいと思います。

プロローグ  〜序論「賃貸住宅を問いなおす」〜

※以下『愛ある賃貸住宅を求めて NYC, London, Paris & TOKYO 賃貸住宅生活実態調査』より抜粋

・日本は世帯ベースでの持ち家率が61%

・世界的にも持ち家率が高い国である。
→なぜか根底にある、「いつかは持ち家を」という心理が、チンタイだから、という諦めを生んでいるのかもしれません。

・なぜ賃貸住宅だからといって住宅性能や機能、ひいてはクオリティオブライフを妥協せざるを得ないことが常識となっているのか。
→賃貸は持ち家に比べ、住宅性能が低いことが状態化し、貸し手も投資・節税目的で貸すため、物件に関わる積極性が欠如している等、かなり根深い問題がそこにはあるのだと思います。

・賃貸住宅は、住まい手に愛されていない。
→スクラップ&ビルドとそれを推進する住環境の画一化が、居住者を置き去りにしているためではないでしょうか。

・欧米の賃貸住宅の家主たちは、築100年超のアパートに省エネ対策など大規模な改修を施すことで、外観は築100年の味わいを出しながら、内部空間は現代的な性能を確保し、物件の価値を高めている。
→住まいに対する価値観が根底から違うと感じました。借り手と貸し手双方の意識を変えるには、まずはどちらかが変わる事が必要だと思います。

・賃貸住宅への建設投資が、短期的なキャッシュフローと節税効果を主な目的として意思決定されている背景。

・賃貸の集合住宅で長期修繕計画を作成しているのは、個人家主の12.1%。
→住み手として、こういった住まいを拒否する意思表示、選択が必要だと思います。

・一生家賃を払い続けても自分の所有物にならない賃貸住宅では、消費者は長寿命を所有することで得られる経済的なメリットも精神的な喜びも、原理的に放棄せざるを得ない。
→そもそも住宅を所有する必要があるのか?という部分から、自分のライフスタイルと照らし合わせて検討する視野を持つ必要があると思います。

・クリエイティブ・クラスはまた、「風変わり」で「個人志向」が強いため、多様な価値観に寛容な都市に集積する傾向が強い。

・不動産価格の高騰は、イノベーションの妨げになりかねない。

・創造的で革新的な活動の多くは、それが新規のハイテク事業、画廊、音楽であれ「安価な空間」を必要とする。
→賃貸の新しい取り組みをするなら、こういった熱量を持った人達が集まる場所で展開すると、浸透が早そうです。ただ往々にして家賃相場が高いため、安価な物件を調達するのが課題。

・世界的な大都市に住むことは、高い確率で賃貸住宅に住むということであり、賃貸住宅の質は、その都市の居住環境の質を表しているといっても良い。
→若く多感な時期に、自由で豊かなライフスタイルを送れる事が社会にもたらす貢献度は高いと考えます。

・日本の賃貸住宅ストックがガラパゴス化している事実がある。
→世界的な競争力で考えると、広さ、住宅性能をはじめ、賃貸文化的な部分も含め悪い意味で、独自な物になっていると考えられます。

・地域と断絶して暮らしている。そのことに対して、「チンタイだから」という諦めや無関心がこの市場を覆っている。
→画一的な住空間が、住まいに対する住人の積極性を削ぎ、それが伝播して地域に対する姿勢にもつながっているのではないでしょうか。

こんな感じで、読み進める毎に忘れないように考察して行きたいと思います。