このプロジェクトを知った時、「尾道ですごいことが起こっているな」と驚きました。尾道デニムを通じて、尾道と世界をつなぐプロジェクトを紹介したいと思います。
尾道デニムプロジェクト
▪尾道デニムプロジェクト:http://www.onomichidenim.com
尾道で暮らす人にデニムを履いてもらい、暮らす中でできる一点物のUSEDデニムを創ろうというプロジェクトです。
使われるジーンズは、デニムデザイナーの林芳亨氏が手がけるRESOLUTEというブランド。中国地方、備後地区で熟練の職人によって生産される国産のジーンズです。
実際に行ってきたので写真で紹介します。
入店するとジーンズが整然とディスプレイされており、1つ1つをよく見てみると、しみやほつれ、色落ちの仕方が様々で、全く違った表情のジーンズに仕上がっています。通常のUSEDデニムからはできた過程の情報がわからないものですが、こうやって「シェフ」「プリン屋」「ラムネ屋」と記載があるのはアイデアだけでもとても面白いと感じました。1つ1つの表情にも愛着をより持てるような気がします。
値段を見てびっくり。新品だと1本2万円代で購入できるのですが。このプロジェクトのUSEDだと1本3万円以上するものがほとんど。非常に高価です。デパートの一角に店があるわけでもなく、尾道の昔ながらの商店街の中に店はあります。
デニムを媒介にした地域ブランディング
今の尾道を取り巻く環境の変化を踏まえた上で、このプロジェクトを見ると、非常に素晴らしいアイデアだと理解できます。
地元の人がターゲットなのではなく、観光客がターゲットなのだと理解しました。
① 好調な観光で国内外から人が集まる好機
② 世界中の誰もが馴染みのある「デニム」に着目した点
③ 尾道の人を巻き込んで1点ものに仕立てた点
④ 中古ではなく付加価値と捉えた点
本サイトでも何度か取り上げましたが、今尾道には世界中から人が集まってきてます。アジアでも有数のサイクリングロードにまで知名度をあげたしまなみ街道の拠点として数年前では考えられなかった多種多様な観光客が押し寄せています。また国内では、最近話題の豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の停車駅にもなり、国内観光も好調です。
こういった人たちはいわば尾道になんらかの価値を見出し、わざわざ足を運ぶ「ファン」とも言えます。そのファン達にとって尾道の日常で育まれたUSEDデニムは「人に話したくなるような」付加価値であり、新品からの価格UPは納得ができる範囲なんだろうと思います。
尾道観光でGETした尾道のUSEDデニムを買って帰り、それぞれの地元や国に帰り尾道の思い出話を家族や友人にする。そこで伝わる情報は広告を介して発信される表面上の情報よりもずっとライブ感にあふれ、聞く人の心に刺さる表現に各国の言葉で自動翻訳される。そんな高度で深いマーケティングツールのような役割をこのプロジェクトが果たしているのだと想像しました。
ちなみにお店はこんな感じ。ぜひ尾道に立ち寄った際は行ってお気に入りの1本をGETしてみてください。