「原美術館」きっと死ぬ前に思い出す、大切な場所。

転勤族の両親と一緒に、全国各地を転々とした幼少期。そんな生い立ちなので、地元と呼べるところもなければ、愛着のある土地は数える程。その中でも自分にとってかけがえのない場所。それが「原美術館」です。


原美術館

http://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/

現代美術館を専門に収蔵する美術館。1938年に実業家原邦造氏の私邸として建設され、1979年現代美術館として開館しました。日本でいち早く現代美術を紹介しアートシーンに多大な貢献をした重要な美術館です。

品川の住宅街にひっそりと佇み、一歩足を踏み入れるとあっという間に別世界へと誘われる。現実世界と非日常との境界線のような繊細さがたまらなく大好きです。


大学時代、自分は何者になれるか知りたくて、制作活動に没頭した時期がありました。何度も足を運び沢山の衝撃とイマジネーションをもらいました。現代美術家である奈良美智さんのワークスペースが丸々再現された常設展示や、場全体が純白のタイルで囲まれたジャン=ピエール レイノー作「ゼロの空間」。今でこそ空間をそのまま芸術表現として見せる方法は一般的になったように感じますが、当時の自分にはショッキングな体験で、型にはまらない現代美術の魅力を知るきっかけになりました。

今の妻であり、当時の彼女とも何度も足を運びました。都会にいながらにして、旅行に行ったような気分になれるので、とても心地の良い時間を過ごしました。
結婚パーティも原美術館で挙げました。手作りで1から作る自分たちだけのパーティ。大切な人たちとかけがえのない時間を共有し、よりこの場所への想いは強くなりました。こういう瞬間にどれだけ恵まれるか、創っていけるか。自分達にとって幸せの指針になるような濃い体験をさせてもらいました。

 

そんな原美術館が2020年に閉館します

原美術館、2020年に閉館へ。40年の歴史に幕。https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/18895

衝撃的なニュースでした。僕にとって大切な場所であるように、きっとどこかの誰かにとってもそういう場所であって、喪失感にさいなまれている人は沢山いると思います。

過去を懐かしむ時に、その場所がこの世に存在しないというのはなんともセンチメンタルです。まだ閉館までは期間があるので、何度か足を運ぼうと思います!

まだ行った事がない方はぜひ行ってみてください。自分にとって大事な場所が1つ増えるかもしれません。

出展:原美術館WEBサイトより