祖谷、日本の秘境コンニチハ

有給休暇を取り、
日本の秘境とも呼ばれている祖谷に行って来ました。四国のほぼ真ん中、徳島県の山深くにあります。

私は幼少の頃、祖谷の近くにある徳島県三好市池田町で育ちました。祖谷に向かう道中、池田の思い出の場所を巡り、次第に深くなっていく山と狭まる道幅に改めて祖谷が日本の秘境だとよばれる事を実感しました。

山にへばりつくように立つ民家。平家の落人伝説が残る地域です。

「山」という漢字の成立ちを実感できるような切り立つ地形。森からは絶えず水蒸気が沸き立ち、幻想的な雰囲気が漂います。

平家の落人が追手からの逃れるために作ったという「かずら橋」。敵兵が来たら容易に切り落とせるように植物の蔓で作られています。
※今はもちろん鉄製のワイヤーで補強済

水は澄み、夏でもキーンと冷たい。

予想外の出来事

祖谷で予約していた宿への道中、いくつかの観光スポットに訪れる中で驚いたのは、海外からの観光客の多さでした。四国の街中でもあまり見かける事の多くなかった訪日観光客が、祖谷のディープなスポットに大勢。国籍は問わず、家族連れから若いカップル、お年寄りまで。

大歩危峡という渓谷で、クルージングを体験できるのですが、乗客約30名のうち、日本人が僕と妻だけという事もありました。まるで海外旅行に来たかのような錯覚!

▪️大歩危峡観光遊覧船

裏側には地元の戦略と努力があった

滞在中は、祖谷の雄大な自然にすっかり魅了されまるで海を連想させるような山の大きさと深さに身を委ね切っていました。東京に戻って思い返した時に、あのただならぬ状況は何事だったんだと、祖谷の訪日観光客について調べてみると、地元の戦略と、見えない努力がある事がわかりました。

▪️『事業構想』2015年10月号
外国人観光客が4倍に 徳島の「秘境」が挑む観光まちづくり

▪️『徳島新聞』2016年11月
「大歩危祖谷」が温泉選挙2位 インバウンド部門

記事を要約すると、ポイントとして見えてきたのは3点

①体験型観光にいち早く着手 2003年
※国が推進し出したのが2008年とのこと!!
②地元の観光資源を見直した事
③民間、行政、教育機関等が一体となり参加した点

2017年の今、しっかり結果としてインバウンド需要に供給できているのは上記では語り尽くせない細かい施策と継続を続けた努力があったのだと思います。
※泊まった宿の女将さんはお魚出すのも一苦労、頭がついたままで出して驚かれた事もありますとおっしゃっていました。

また、祖谷には『篪庵トラスト』という祖谷の古民家を改装し宿泊施設として再生させるNPO団体があり、アメリカ人の東洋文化研究者のアレックス・カー氏の存在も祖谷と世界をつなぐ架け橋になっています。

※写真:篪庵トラストWebサイトより

雄大な自然や、その土地が育んできた風土は人種や文化の壁など関係なく、無条件に人の心を惹きつけ、その場に赴かせる力があるのだと今回の旅で実感しました。

さらに、そこにしっかり焦点を当てて整理し、広く伝わるやり方で発信する。それを絶えずやり続ける継続力。もしかすると日本にはまだ誰も気がついていない祖谷のような場所がたくさんあるのでは?とわくわくしたところで筆を置きたいと思います。

また必ず行きます。