『星野リゾートの事件簿』中沢康彦

『星野リゾートの教科書』が面白かったので、立て続けに読んでしまいました。星野リゾートの現場で起こる様々な経営課題とそれに立ち向かう現場スタッフの奮闘ぶりについて描かれています。

星野リゾートの再生手法

星野リゾートは、経営の立ち行かなくなったリゾート施設の運営を受託し再生させるのをメインの事業としています。そのため、常に逆境からのスタートを余儀なくされています。そんな中でも、数ある事案を次々と成功に導いて来た手法は、ホテル業だけでなく、様々な分野に応用できるものだと感じました。

というよりは、『星野リゾートの教科書』で知った通り、既存のマーケティングのフレームワークに忠実に、それをチーム一丸となってやりきっているという印象を受けました。

<リゾート再生のフレームワーク>
1:市場調査、その施設のポジションの把握
2:上記データに基づいたコンセプト決め
3:コンセプトに基づいて必要な戦術の洗い出し
4:戦術の具体的実現方法の決定
5:実施
6:実施内容の評価、改善
7:その繰り返し

上記2〜7まで、現場スタッフが中心となって決定すると言うから驚きです。星野社長はというと、議論には参加しますが、聞き役、助言役に徹し、現場のスタッフの意見を支配してしまうような事はしないとの事でした。その施設を訪れるお客様の事は現場のスタッフの方が良く知っているし、自分たちで作り上げたものだからこそ、皆がその施設の再生にコミットできる。それが星野社長の考えです。

サービス業に限らず、どんな組織でも、現場の社員が自ら考え、動ける組織が強いのだなと感じました。

上記のフレームワークを現場のスタッフが自分事化してやりきれば、やらされる仕事でなく、自らの仕事になり、やりがいも自然と生まれるのだと思います。言葉にしてしまうとシンプルですが、これを現場に押し付ける事無く、現場を主役にしてしまうのが星野社長の人柄であり手腕に違いありません。

今、幸いな事に自分も現在の仕事で同じような事を体験させてもらっているので、このフレームワークを積極的に実行に移して行こうと思います。いやー、しかし星野リゾート、どこでもいいから一回泊まってみたい。